14年前、初めて我が家に来た猫はグレーのキジトラでまっすぐで細いしっぽが
美しい女の子でした。
その猫は「エリザベス・ドラ・モモ」なんて大層な名前をもらってご満悦な顔で、
いつも自慢のしっぽを天に伸ばして歩いていました。
そんな長い名前を、毎回フルネームで呼んだら
大変なので、みんな「モモちゃん」と呼んでいました。
後からどんどん猫が増えていく我が家でしたが、モモちゃんはどの猫よりも
いたずらが大好きでよく自分で窓やドアを開けて外へ脱走してみたり
とにかく手のかかる子でもありました。
そんな手のかかるモモちゃんは人一倍さみしがり屋でいつも人かほかの猫がいる場所でしかくつろぐことができなかった子でした。
そんなモモちゃんでしたが、13年目の昨年の秋、急に元気がなくなり、
ごはんを食べる量が急激に減っていき、急激に痩せました。
普段は自慢のしっぽを立てて、家の中を歩き回ってパトロールすることが日課だったのに、
しっぽを丸めて日のあたりのいい場所で寝ている時間も多くなりました。
そして、ある日出かけて帰ってくると、眠るように天国に旅立ったモモちゃんが残されていました。
最期の姿を見送ることができなかったことをとても後悔し、
もうあの自慢のしっぽを立てている姿を見られないんだと思うととても悲しかったですが、モモちゃんの顔は安らかだったので、安心したことを覚えています。
ある時は姉妹のように、ある時は友人のようにそばに寄り添ってくれていたモモちゃんがいなくなってさみしく思うことも多いですが、
モモちゃんの残した壁のひっかき傷や、爪を立てて穴を広げてしまった網戸などを
見てモモちゃんのことを思い出して家族で笑ったりしています。
モモちゃん、ありがとう。
生まれ変わってもまたモモちゃんと会えたらいいな。