動物の殺処分について(前編)先進国の取り組みと今後の課題

動物の殺処分について、諸外国の現状と私たちで出来る事という2つの視点で、2回にわたり掲載させていただきます。

戦後から現代まで私たちの生活は急激に変化してきました。家族の在り方なども大きく変わり、大所帯で暮らしていた時代から核家族へと移り変わっていく中、犬や猫をコンパニオンアニマルとして飼うご家庭が増えました。そしてペット業界の拡大により様々な種類の犬や猫が販売され、その傍ら売れ残った動物たちの扱いが問題視されていることはご存知のことでしょう。

日本はまだまだ動物愛護の取り組みが遅く、課題も多くあります。
他国の取り組みなどを参考に一人一人の意識が変わっていくことで殺処分ゼロも可能になるのではないでしょか?

動物愛護先進国の取り組み

アメリカ

アメリカでは日本以上に殺処分の頭数が多いのですが、日本との違いはシェルターの数が多いということと、譲渡される数が保護された数の半数を超えているということです。日本ではまだ保護=殺処分というほど、およそ9割の命が失われています。
背景には動物愛護団体の呼びかけがテレビ等の媒体を通して毎日行われており、寄付や募金集めにつながっています。そして犬や猫はペットショップで買うのではなく譲渡してもらうものだ、という人々の認識の変化でペットショップが減りつつあるということも関係しているのではないでしょうか。

動物虐待した人への罰

アメリカでは動物虐待の法律が厳しく重罪と扱われている地域もあり、一度動物虐待で捕まると虐待者として住所や氏名、顔写真など個人データーを登録されます。このデーターはネットでも一般公開され二度と同じ過ちが起きないように徹底されています。ただ、州によって罪の重さに差があるのも事実です。

ドイツ

ドイツでは殺処分はなく、保護された犬や猫はティアハイムというアニマルシェルターで飼われ、約90%が新しい飼い主に引き取られます。
そして犬税が課せられるため、単に可愛い等の理由で衝動的に飼ってしまうというような事はほぼおきません。
ドイツの人々はペットショップで犬を買うといったことはなく、ティアハイムやブリーダーなどから家族として迎えます。

ティアハイム

動物の家として飼い主が決まるまで生涯過ごすことができます。この施設には様々な生き物が保護されており、設備の整った環境下で飼育されています。その費用は企業や民間の寄付や募金で賄っています。また、スタッフをほとんどボランティアなどで運営するなどしています。
保護されてきた動物が入る検疫室や病院もあり、床暖房、個室、リハビリセンターといったように手厚く保護を受けられます。
家族に迎えるかどうかはティアハイムに何回も足を運び、細かく確認をしてはじめて家族に迎えることができます。

イギリス

人に権限があるように動物にも権限があるとし「動物も人間同様苦痛を感じる存在である」として早くから動物愛護先進国として確立してきました。ペットショップの経営を認可制にし、その後は街頭や公共の場での販売を禁止、飼い主への責任などを法律で細かく決めるなど様々な取り組みがされてきました。
イギリスでは健康な犬猫は処分されず、病気や、性格が狂暴などの理由がある時のみ安楽死が行われています。健康であれば、個室に1~2頭で飼われ設備の整った施設で生涯過ごすことができます。

バタシードッグズ&キャッツホーム

最大級の動物愛護施設です。広い施設に外来の受付もできる病院もカフェもあります。
犬・猫の状態が各部屋の前に貼られており、性格、どの様な家族にもらわれたいか、留守番が何時間ならできる、など非常に細かく丁寧に書かれマッチングミスがおきないように工夫されています。引き取る条件も非常に厳しいです。新しい家族が決まるまで保護され続けます。
運営費は施設内で売られているグッズの販売や寄付、募金やボランティアなどで賄っています。

日本での取り組み

動物愛護各地の活動

日本でも各地で動物愛護活動は行われています。
海外の動物愛護団体を訪問して問題点を浮き彫りにしたり、動物愛護法改正に向けての活動などが行われています。市や区などで行われる譲渡会もたくさんあります。しかし、そのほとんどはあまり知られてはいません。譲渡会なども興味をもって調べ足を運ぶ人はそう多くはないのが現状です。
保護施設運営のための寄付金集めの呼びかけも多くされていますが、まだまだ寄付は足りていません。

動物との生活

動物との生活はかけがえのないものです。しかし、ただ可愛いから、欲しいからと安易に飼ってしまうと、結果手放すことになったり、世話をしなくなったりということにもなり兼ねません。

動物と暮らすには、

  • 生涯を共に過ごす覚悟があること
  • 動物にも老後がやってきて世話が必要になること
  • 家族全員の合意を得られること
  • 世話をする飼い主の体力があり、充分時間を割くことができること
  • 動物のアレルギーがないか
  • 受け入れる状況や近隣の状態などが適した環境であること
  • しつけに関しての配慮ができること
  • 経済的な負担が増えること
  • 転勤・引っ越しなどがあった場合も継続して飼養できるか

など、あげればきりがないほどの確認事が必要です。

犬や猫は一人の子供を育てるような大変さも時にはあります。それでも家族として迎えることができた時、様々な感動や癒しや奇跡を人に与えてくれる存在です。

今後の課題

宣伝の弱さ

日本で動物愛護先進国と同じような取り組みを行うにはまだまだ資金不足です。資金の確保にはどうしても寄付などが必要です。
携帯電話などの普及でインターネット上での寄付が容易にはなっていますが、結局は興味をもっている人のみが寄付をするといった事になるので中々資金が集まりません。
携帯やパソコンが苦手な方もいます。アメリカのように毎日テレビで呼びかけるような誰でも目にすることのできる宣伝が必要不可欠になっています。

クラウドファンディングの利用

最近ではプロジェクトに対して寄付金を募るクラウドファンディングで動物愛護の活動資金に充てるという試みもあります。目標金額に達しないと資金が受け取れないということで、難しくまだまだ少ないのが残念です。
しかし、こういったことで声を上げることが大事です。少しでも大切な命を救うことのできる手段の一つになるといいです。

TNR

野良猫などを捕獲(Trap)して不妊去勢手術(Neuter)を行い元の場所に戻す(Return)ことをいいます。TNRが行われた猫は麻酔のかかった状態で耳先を少しカットして目印にします。こういった活動を行うことで野良猫の繁殖を減らしていきます。
しかし、こういった活動もまた資金が足りず、すべての野良猫にTNRを行うことはできません。猫の繁殖の速さに追いつけないとこの問題は解決できません。一匹でも多く命を救うためにはTNRは必要な処置です。
TNR活動が広がれば、野良猫が減り、人間との暮らしも変化し、結果殺処分も減少するのではないでしょか。

まとめ

各国の保護方法や考え方の違いはあります。日本が同じようにできるかといえば難しい問題なのかもしれません。しかし、動物から与えられる尊いものはどこの国のどの動物でも変わりません。人間と同じように愛情をもって育てれば愛情をたっぷり返してくれるのも人間以上であると思います。
私たち一人一人が命の重さを考え、動物達から与えられる愛情や感動がかけがえのないものだと実感できた時、悲しい事件や殺処分がなくなる国になるのではないでしょか?

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