保護施設で子どもが犬に読み聞かせ(シェルター・バディーズ・リーディング・プログラム)

幼い子どもたちの楽しみのひとつは、寝る前にお父さんやお母さんに絵本を読んでもらえることではないでしょうか。わくわくしながらベッドに入り、気がつくと子どもたちはお父さんやお母さんの声を聴きながら安心して眠りにつきます。
そんなしあわせなひと時を、幼い子どもたちと保護犬が味わっていることをご存知でしょうか。

動物シェルターの新しい試み

米国ミズリー州にある動物シェルターで行われた試みが大きな反響を呼んでいます。その試みとは「子どもたちが保護されている犬たちに絵本を読んであげる」シェルター・バディーズ・リーディング・プログラムです。このプログラムは市内の小学校と協力して、課外ボランティア活動として始まりました。

参加者は誰でもいいというわけではありません。ボランティア希望の子どもたちが自主的に応募し、その中から選びます。そして選ばれた子どもたちは、犬のためのトレーニングを受けます。また「どんな時に犬はストレスを感じるのか」など基本的な犬の知識も学びます。

向かい合うひとりと一匹

トレーニングを受けた後、子どもたちはそれぞれ自分が読んであげる犬の前に座って、読み聞かせを始めます。興味を持った犬は子どもの声をじーっと聴いています。ガラス越しにのぞき込む犬がいたり、不安で落ち着きのなかった犬がリラックスしたり、中には子どもの声を聴きながら安心しきって寝てしまった犬もいたようです。

シェルターに保護された犬たちはつらい経験をした犬ばかりです。虐待されたために人を怖がったり、信頼できなくなっている犬たちが、子どもたちを通して心を開いていきます。子どもたちの読む声は、ケージの中の犬たちに、子どもたちのあたたかな心もいっしょに届けます。

犬と子どもの特別な関係

子どもたちが喜んで本を読み聞かせるのはどうしてでしょうか。やさしい思いやりの心をもっているのはもちろんのこと、一番の理由は「犬は何も言わないから」だそうです。子どもにとって、自分が読んでいるお話を何も言わずにじーっと聞いてくれることは、「ありのままの自分を受け入れてくれている」と感じます。

子供たちの中には絵本を上手に読めない子もいますが、犬から言葉の間違いを指摘されることはありません。ですから上手に読めないとしても、のびのびと読むことができ、読むことが楽しくなります。そして子ども自身も自分を受け入れることができ、自信がついていきます。

犬との触れ合いは心の治療薬

幼い時の環境は子どもの脳の発達や、人格形成に大きく関わっています。犬との触れ合いは子どもたちにどのような影響があるのでしょうか。「相手を慈しむ心」が生まれます。そして自分より弱いものを守ろうという意識が働きます。子どもたちにとって読み聞かせている犬は「守るべきもの」、「大切な友だち」になります。

心許せる友だちがそばにいてくれることは、子どもたちの心に安心感をもたらします。そして友だちのために何かしたいと動かされます。子どもたちは犬のために絵本を読むだけでなく、新しい家族が早く見つかるようにと、自発的に犬舎にたくさんのメッセージを飾り付けました。

まとめ

動物シェルターでの読み聞かせは、不安でいっぱいの保護犬の心を癒すだけでなく、読んであげる子どもたちにとっても良い影響がありました。犬は人の心にとても敏感です。だからこそ純粋な子どもたちと気持ちを共有することができます。

犬と子どもとの関わりは、子どもたち自身も気づかなかった、本来自分の中に備わっている「弱いものへの思いやりの気持ち」に気づくきっかけにもなりました。こうした経験は彼らが人として成長していく中で、確かに大きな役割を果たすことになるのではないでしょうか。

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