街を歩くと、ペットカフェを目にする機会が増えました。それに比例し、ペットカフェ問題もニュースなどで見聞きする機会が増えました。問題が起きてしまうのはどういった背景があるのでしょうか。
ペットカフェの実状を2回に分けお伝えしたいと思います。
後編はこちら
身近な存在となったペットカフェ
動物たちと触れ合える場所として人気のペットカフェ。その可愛さゆえに最近メディアでも取り上げられることが多くなりました。まったりしている猫を眺める猫カフェや普段なかなか会うことのないフクロウやハリネズミなど、動物を見ながらお茶を飲むというスタイルは世界でも独特の文化。そのおかげで外国人観光客もこのペットカフェ目当てにわざわざ来るそうです。
ですが本来私たちに癒しを与えてくれるその動物たちが実は声なき悲鳴をあげていることをご存知ですか。もちろんすべてのペットカフェに問題があるわけではありません。保護猫の幸せを願って譲渡という目的のために頑張っている団体もあります。とても尊敬できますし、その活動を知ると私たちも何かできないかと心を動かされます。
その一方で、ひとつのブームとして、動物を商品として扱っているお店があるのも事実です。それで、今日はなぜこのようなお店ができてしまうのか、その問題点についてお伝えしたいと思います。
ペットカフェ開業は簡単
今年の1月の朝日新聞に「犬猫の販売85万匹の陰に業者登録確認すらせず」という記事が出ました。動物という命を預かる仕事であるペットカフェですが、誰でも簡単に開業することができるのでしょうか?
開業には「動物取扱責任者」登録が必要です、と聞くと、行政によるしっかりとした管理のもと開業がなされると思いがちですが、実はその条件は申請する業種で半年以上の実務経験が必要という内容です。つまり猫カフェで半年バイトすれば、猫カフェ開業OKということになります。他にも通信教育でも資格をもらえます。
どちらにしても国家試験があるわけでなく、更新が必要ですが、周りで調べられたり、抜き打ち検査があると聞いたことはありません。命を扱う責任者に必要な知識や経験がないまま行われているというのが現状です。
経営者のモラルの低さ
このような簡単な手続きで開業できてしまうことから、次々とペットカフェを開業する人が増え、今では300店を超えるほどになっています。そうした中、大手のペットカフェ「モカ」が50匹もの猫を死なせてしまったというニュースが大きく報じられました。
現場では動物にとって過酷な環境にアラートをあげていたそうですが、動物を商品としてしか見ていない経営者からは「死んだらまた買い足せばいい」という命を軽視する言葉があったそうです。
猫が病気とわかっても隔離せず営業を続け、結果としてネコパルボウイルスという感染症でたくさんの命が奪われました。ワクチンを適切に接種すればほぼ100%防ぐことができるそうです。
今回働いていたスタッフからの勇気ある証言で内情が分かったわけですが、このような経営者がたくさんのお店を持てるという現状に驚かされます。
(つづく)
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