ねこの駅長さん。たまちゃん。(前編)

「ねこの駅長さん」が誕生して今年で12年、「ねこの駅長さん」は小さな子どもたちだけでなく、幅広い年齢層の人たちに愛され続けてきました。駅長さんの帽子をちょこんとかぶると、そこに座っているだけで本当に駅長さんに見えてしまうから不思議です。

今では海外のファンも含め、たくさんの人たちに愛されている「ねこの駅長さん」ですが、その誕生をご存知でしょうか。今回はこの小さな駅長さんのちょっと心温まる誕生秘話を、2回に分けてお伝えしたいと思います。

ノラのたまちゃん。駅で生まれる

初代駅長さんの名前はたまちゃん。1999年4月29日海に近い和歌山の小さな駅で生まれました。もともとたまちゃんのお母さんはこの駅にいたノラちゃんで、たまちゃんは生まれた4匹の中で、いちばんおっとりしている子だったそうです。駅の隣の小山商店でお母さん猫のみーこといっしょに飼われることになり、地元の人たちや駅を利用する人たちに可愛がられていました。

たまちゃんの住む駅廃止路線になる

2003年に当時和歌山の貴志川(きしがわ)線は利用者が少ないことで赤字となり、たまちゃんの住んでいた「貴志駅」を含むこのローカル線がなくなることになってしまいました。町の人たちはローカル線の存続を願い、たくさんの人たちに来てもらうために「貴志川を守る会」を作りました。
積極的に駅の待合室にお花を飾ったり、お休みの日に集まって駅のトイレを掃除したり、子供たちはポスターを描いたりと、このローカル線を守ろうと奮闘しました。もちろんたまちゃんもまだ駅長さんになる前からそこにいて、みんなを和ませていました。

たまちゃんの救世主あらわる

一度は廃止決定となった貴志川(きしがわ)線ですが、町の方々の努力の甲斐あって、岡山県を中心に公共交通事業を行っている両備グループが経営を引き継ぐことになりました。この両備グループの代表である小嶋光信社長との出会いがたまちゃんの人生を大きく変えていきます。

ローカル線が存続することはよかったのですが、今度は駅を新しくするために、たまちゃんたちが暮らしていた猫小屋を取り壊してほしいといわれてしまいます。そこで困った小山商店のお母さんが思い切った行動に出ます。2006年4月1日新しく始まる和歌山電鐵(でんてつ)貴志川線の開会記念式典で訪れていた両備グループの小嶋光信社長に、「社長さん!たまたちを助けてください!」とお願いをします。びっくりした小嶋社長でしたが、話をよく聞いた後に一つの条件を出します。それはたまちゃんが駅の職員になること。

小嶋社長は言います。「駅で個人のペットを飼うわけにはいかない。だけど、駅の職員だったら駅に住んでも問題ないわけだ。だからたまちゃんたちが社員になればいいんだよ。」
こうも言われます。「たまちゃんが仕事をしてくれるならこの駅に住まわせてあげて、お給料として毎年キャットフードを一年分お支払いするよ。」

たまちゃんにも声をかけます。「ねぇ、たまちゃん、君、駅長さんにならないかい?」「お金を節約するためにこの駅は無人駅になってしまったからね。代わりにたまちゃんが駅長さんとして駅を守っておくれ」この社長の言葉にたまちゃんがどう思ったかはわかりませんが、小嶋社長の温かな言葉は続きます。

「大丈夫、できるよ。君は生まれたときからこの駅で暮らしてきて、誰よりもこの駅のことを知っているだろう」こうしてたまちゃんの駅長さんとしてのお仕事が始まることになりました。

たまちゃん駅長さんになる

2007年1月4日和歌山電鐵(でんてつ)から正式に駅長に任命されて就任式が行われました。
「世界で初めてのねこの駅長の就任式」となり日本中から注目されることとなりました。この就任式の時、たまちゃんにかぶせた帽子は特注品で、本物の駅長さんがかぶる帽子と全く同じものを小さくしたそうです。駅長さんのしるしである金の線もちゃんと入っています。
この帽子を作るのはとても難しく、帽子屋さんはミシンを三台も壊したほど大変だったとか。たまちゃん、感謝してるかな。

まとめ

たまちゃんが駅長さんになってから観光地でもない町に国内外からたくさんの人たちが訪れるようになりました。それは今も続いています。改札口の入り口でちょこんと座っている姿はとても愛らしく、長い間訪れる人たちの心を和ませてくれました。今その席は二たまちゃん(たまに似た二番目の駅長)が引き継いでいます。

人と人との出会いは、その後の人生に大きく影響するものです。今回は人と猫の出会いでした。たまちゃんと小嶋光信社長との出会いはそれぞれの人生だけでなく、かかわるすべての人に大きな影響を与え続けています。小さな駅で生まれたノラちゃん。こんなにも多くの人たちに愛されるとは、たまちゃん本人が一番びっくりしていたかもしれませんね。

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