この時期発症しやすい犬のふらつきー特発性前庭疾患ー

秋から冬にかけて発症しやすい特発性前庭疾患という病気をご存知ですか?

特発性前庭疾患とは~どんな病気?~

バランス感覚を司る前庭の機能が突然に障害される病気で、散歩中に発症すれば、首を不自然に傾け、その場でふらふらと倒れたり、歩けなくなったりすることがあります。この病気の原因はまだ明らかになっていませんが、8歳齢以上の中~高年齢の犬で発症しやすいため、老犬性前庭症候群とも呼ばれています。

特発性前庭疾患の症状~こんな症状がでる~

特発性前庭疾患の場合、症状は驚くほど急激に発現します。症状は、バランス感覚が狂って倒れたり、起立や歩行ができなくなったりするほかに、特徴的な症状として斜頸(しゃけい:首が不自然に片側に曲がること)がみられます。斜頸のため首が曲がっている方向にくるくると回りながら歩く旋回運動を行うこともあります。また、眼球が左右にいったりきたりする水平性眼振や眼球が円を描くようにぐるぐる回る回転性眼振がみられます。眼振がある間は、酷い車酔いのような状態なので、食欲がなくなったり、吐き気や嘔吐を生じることがあります。

この病気は前触れもなく急激に発症するため、犬は自分の身体が思うように動かせない状態に驚き怯え、ガタガタと震えたり、失禁や脱糞をしてしまうこともあります。

治療方法~どんな治療方法がある?~

特発性前庭疾患には効果的な治療法はありません。しかし、この病気はほとんどの場合、自然に回復していきます。
一般的に眼振は数日で、斜頸は早ければ2~3日、遅くても2~3週間で改善し、これに伴って平衡感覚も回復して普通に歩いたり走ったりできるようになります。ただ、ごく稀ですが、首の傾きが少し残ったままになる犬もいます。
強い吐き気や嘔吐がある場合や自力での飲食ができない場合は、対症療法として吐き気止めのお薬の投与、脱水改善・予防のための点滴、フードの強制給餌などが必要となります。

介護方法~自宅での介護のポイント~

特発性前庭疾患を発症した犬は、誰よりも自分の状況に戸惑い怯えてしまっていることが多々あります。まずは優しく声をかけ落ち着かせてあげましょう。
特発性前庭疾患は入院が必要なこともありますが、ほとんどの場合は通院治療となり、自宅での介護が必要となります。愛犬を自宅で介護をする場合、次のことに注意してあげてください。

  1. 暖かい湿気の少ない場所で休ませます。起立できない場合は粗相してしまうことがあるので、ペットシーツなどを下に敷いて、常に清潔に保ってあげるか、トイレまで連れて行って姿勢を補助しながら排泄させてあげます。
  2. ふらついたり倒れたりしてあちこちにぶつからないよう、愛犬の移動範囲に物や家具を置かず、ぶつかりそうな所には緩衝材をつけておきます。ケージで安静にさせる場合は、ケージ内の壁際に発泡ポリエチレン製シートやウレタン製シートなどをつけておくと良いでしょう。
  3. 真っ暗な室内では、症状が悪化することがあるため、夜でも室内を少し明るくしておきます。
  4. 起立や歩行が難しい状態の間は、柔らかくした好物のフードやお水を口元へ持って行って与えましょう。自力で飲食もできない場合は、スポイトやスプーンなどで少しずつ飲ませたり食べさせたりしてあげる必要があります。うまくできない時は動物病院に相談してみましょう。
  5. 吐き気が治まっていれば、アシストバンドなど歩行補助用ハーネスを装着し少しずつでも自力で歩かせ寝たきりを防ぐようにします。家庭でできるリハビリ指導を動物病院で受けるのもお勧めです。
    ※この病気は稀に再発することがあるので、歩行補助用ハーネスは常備しておくと安心です。

まとめ

特発性前庭疾患であれば、自然に回復していきますが、特発性前庭疾患以外の病気では自然に回復していくことはありません。そのため原因に応じた治療が必要となってきます。
特発性前庭疾患によく似た症状が起こす病気には、他の前庭疾患だけでなく、脳腫瘍や脳梗塞、椎間板ヘルニア、心臓疾患などがあります。類似の症状を起こす病気の中には命にかかわるものや早期の治療が必要なものもあるため、愛犬にふらつく、歩けなくなるなどの症状が出たときにはすぐに動物病院を受診しましょう。

 

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